【2024年版】介護保険負担限度額認定証を利用して介護費を減らす|申請の条件や方法について解説

介護 食事介助

介護施設の利用にはそれなりの費用がかかり、毎月の介護費が高いとお悩みの方も多くいます。

介護保険負担限度額認定制度の対象となっている場合、通常全額自己負担となっている「居住費」「食費」の負担を減らすことができます。

この記事では、介護保険負担限度額認定制度の概要、申請の条件、申請の方法、注意点について解説していきます。

介護保険負担限度額認定証・認定制度とは?

介護保険負担限度額認定制度とは、対象の介護施設を利用した際にかかる「介護保険の適用外となる費用(居住費・食費)」を軽減するという制度です。

介護施設に入居すると様々な費用がかかりますが、その中で介護保険が適用されるのは「介護サービス費」のみであり、その他の費用は基本的に全額自己負担となります。

それらの負担を軽減するために作られた制度が「介護保険負担限度額認定制度」で、定められた条件を満たした方に限り、費用が軽減されるようになりました。

介護保険負担限度額認定証の見本

認定された人には以下のような「負担限度額認定証」が発行されます。

負担限度額認定証見本

マイナ保険証を利用している場合は、介護保険負担限度額認定制度が自動的に適用されるようになったので、「負担限度額認定証」を提示する必要はなくなりました。 (既存の保険証を利用している場合は「負担限度額認定証」の提示が必要です。)

介護保険負担限度額認定証が使える費用

介護施設へ入居する際に必要な費用は、以下のように分類されます。

【介護保険適用対象(1~3割負担)

●介護サービス費

【介護保険適用対象外(全額負担)

● 居住費 →介護保険負担限度額認定制度対象

● 食費 →介護保険負担限度額認定制度対象

● 日常生活費

介護サービス費は介護保険の対象となるため、自動的に自己負担は1~3割となります。

それ以外の主な費用である「居住費」「食費」「日常生活費」に関しては全額自己負担となっています。

その中で、介護保険負担限度額認定制度の対象になるのは「居住費」「食費」です。

介護保険負担限度額認定証の申請対象者

介護保険負担限度額認定制度の利用(認定証の発行)は、誰でも申請できるものではなく、条件が定められています。

大きく分類すると条件は以下の2点です。

(1)世帯全員が住民税非課税であること

(2)預貯金等が基準額以下であること

「預貯金等」は具体的には以下のものを指します。

●金融機関に預けている貯金
●株式や債券などの有価証券
●金・銀などの貴金属
●投資信託
●現金(タンス預金)

借入金や住宅ローンなどの負債がある場合、預貯金等の合計から差し引かれることになります。

基準額は収入の状況により定められています。次項の表に詳しくまとめましたので確認してみましょう。

介護保険負担限度額認定証の負担段階

介護保険負担限度額認定制度では、以下の分類で支給される金額が定められています。

負担限度額認定証の支給額一覧

所得や預貯金の状況により「段階」が定められており、ご自身が当てはまる段階の金額が支給されることになります。

介護保険負担限度額認定証の対象施設

介護保険負担限度額認定制度は全ての介護施設が対象となるわけではありません。

対象となるかどうかは以下のように分類されます。

【介護保険負担限度額認定制度の対象となる施設】

●特養(特別養護老人ホーム)

●老健(介護老人保健施設)

●介護療養型医療施設

●介護医療院

●地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特養)

●(ショートステイ) 短期入所療養介護

●(ショートステイ) 短期入所生活介護

【介護保険負担限度額認定制度の対象外となる施設】

●有料老人ホーム

●グループホーム

介護保険負担限度額認定証の申請方法と必要書類

条件を満たしている方は、介護保険負担限度額認定証の申請を次のように行います。

【申請先】

●お住まいの市区町村の介護保険担当窓口 申請書類を持ち込む、または郵送で申請ができます。

【申請時に必要となる書類】

●介護保険負担限度額認定申請書

●同意書(金融機関等に預貯金等の報告を求めることに同意する書類)

●預貯金等を証明するための書類

「介護保険負担限度額認定申請書」と「同意書」は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口で受け取ることができます。また、ホームページからダウンロードすることも可能です。

「預貯金等を証明するための書類」は、通帳や口座残高の写し、借用証書などを準備するようにします。
※自治体によって必要書類が異なる場合もあるため、詳しくはお住まいのホームページを確認するか、問い合わせをすることをおすすめします。

【交付時期】

●申請後、約1週間 認定証は自宅に郵送される
(第4段階と認定された場合は通知のみで、認定証は交付されません。)

介護保険負担限度額認定証の利用時における注意点

介護保険負担限度額認定制度の利用に当たっては、以下の点に注意する必要があります。

世帯分離(夫婦で世帯を分けている場合)でも、夫婦ともに住民税非課税である必要がある

申請条件のひとつに「世帯全員が住民税非課税であること」とありますが、夫婦で世帯を分けている場合でも、本人と配偶者の両方が住民税非課税でないと条件を満たしたことにならない点には注意が必要です。

世帯分離をしたから別扱いになると考えることは落とし穴です。

有効期限があるので毎年更新する必要がある

介護保険負担限度額認定証には1年間(8月1日~翌年7月31日)の有効期間があります。

有効期間を過ぎると利用できなくなってしまいますので、更新の手続きを忘れないよう注意が必要です。

事前に更新のお知らせや更新用の書類が郵送で届きます。

前年と比べて収入や預貯金などの状況に変化があった場合、負担限度額の段階が変動したり、認定が受けられなくなることもあります。

まとめ

住民税非課税で、預貯金の額が多くない場合、介護施設の利用時に通常全額自己負担である「居住費」「食費」の補助を受けることができます。

詳細な条件や申請方法は自治体によって異なるので、介護施設を利用していて介護費が高いと感じている場合は、お住まいの自治体に問い合わせをしてみることをおすすめします。