2024年5月現在、電気料金には政府の補助制度が適用されているため、通常より安く請求されていることになっています。
この補助制度は6月に終了するため、7月から電気料金は大幅に上昇することになります。
電気料金の上昇に備えて、エアコンの節電についてできることを考えてみましょう。
この記事では、電気料金上昇の背景、効果的なエアコンの節電術について解説していきます。
7月から電気料金が大幅に値上げする理由
日本政府は、ロシアのウクライナ侵攻に伴う燃料価格の高騰を踏まえて、2023年2月請求分から電気・ガス料金の負担を抑える補助制度を行っています。
それらは段階的に縮小され、2024年6月分で打ち切られることが決まっていました。
よって、6月分の請求が行われる7月より、電気料金が大幅に上昇することになります。
また、補助制度終了に加えて、再生可能エネルギーで作った電気の買い取り費用に充てる「賦課金」の増額も決まっており、合わせて電気料金の上昇に影響をもたらしています。
大手電力会社が試算した電気料金の上昇幅は以下のようになります。
【昨年7月と今年7月の電気料金の比較】
●東京電力 昨年:7,386円 → 今年:8,930円 (20.9%増)
●中部電力 昨年:6,945円 → 今年:8,691円 (25.1%増)
●関西電力 昨年:5,236円 → 今年:7,664円 (46.4%増)
●中国電力 昨年:7,444円 → 今年:8,514円 (14.4%増)
●九州電力 昨年:5,251円 → 今年:7,551円 (43.8%増)
※月間使用量は九州電力は250kWh、その他は260kWhで想定し、標準的な料金を算出
電気使用量が多い家庭ではより大きな影響が出ることになります。
また、電気料金の上昇にもつながる「天然ガスの値上り」は2025年までは続く見通しとなっており、他の化石燃料も長期的な値上がりが見通されています。
これは、電気料金の高騰がまだ今後もしばらく続く可能性が高いということを示しています。
【電気料金の値上げ対策】節電できる夏のエアコン稼働方法ランキング
電気料金の高騰に対し、私たちがこの夏できる一番の節電対策は、エアコンの節電を行うことです。
熱中症のリスクを避けるためにも、適切なエアコンの稼働は必須です。
エアコンを稼働させることを前提に、エアコンの節電術について特に効果があるものを3つ、ランキング形式で解説します。
【第1位】風量設定を「自動」にする
エアコンには風量を設定するボタンがあります。
節電のためには「弱」運転がよさそうにも見えますが、「自動」運転にした方が消費電力が少なくなることが検証されています。
自動運転では室外機の中にある圧縮機にかかる負担が減ることが理由です。
風量設定「弱」と「自動」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなしにした結果、「弱」は1日の消費電力が3.85kWh、「自動」は2.79kWhで「自動」の方が消費電力量が約3割少なくなったという実験結果もあります。
その場合、「弱」に設定したときと比べて1カ月の電気代は約990円少なくなります。
【第2位】風向を「水平」にする
エアコンには風向を設定するボタンもあります。
風量だけでなく、風向を考えることもまた節電につながります。
風向を下向きではなく「水平」にすると、冷たい風が天井付近から床方向に自然に下りていく(冷たい空気は重く床付近にたまる性質があるため)ので、余分な電力を使わず効率よく部屋全体を涼しくすることが可能です。
風向設定「斜め下」と「水平」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなしにした結果、1日の消費電力量が風向「斜め下」は3.76kWh、「水平」は2.77kWhで「水平」の方が、「ななめ下」よりも1カ月の電気代が約930円少なくなるという結果も出ています。
【第3位】温度を下げるより風量を上げる
エアコンをつけていても暑く感じる時、温度を下げる前に風量を上げてみて下さい。
エアコンは、設定温度を下げるときにも圧縮機の運転が強まるため、電力を多く使うことになります。
ですが、人の体感温度は室温だけでなく湿度や気流によっても変化するため、室温を下げる代わりに風量を「強」にすることでも体感温度を下げることが可能です。
特に気温の上がる13~15時ではその差が大きくなり、風量を「強」にする方が、設定温度を「1℃下げる」場合と比べて消費電力量が約半分になることも分かっています。
【電気料金の値上げ対策】効果的な夏のエアコン節電方法
上記以外にもおすすめのエアコン節電術があります。
実践可能なものは積極的に取り入れてみることをおすすめします。
室外機に日陰を作る
エアコンは、室外機周辺の、室外機が吸い込む空気の温度を下げることで冷房運転の効率が高まります。
室外機の上にプラダンなどを固定し、屋根を作ることで室外機を日陰にするというのは節電術のひとつです。
他にも、室外機周辺に打ち水をするということも効果があると言われています。
一方、「濡れタオルをかける」と言う方法は、タオルが風などでずり落ちてしまって吸入口をふさいでしまった場合、逆に消費電力の上昇につながってしまうのでおすすめしません。
本体を冷やすことより、周辺の空気を冷やすことを優先しましょう。
扇風機やサーキュレーターを併用する
扇風機やサーキュレーターで室内に風をおこすと、空気の循環がよくなり効率的に部屋を冷やすことができます。
また、風の力で涼しく感じることもできます。
エアコンの温度を1℃上げることより扇風機やサーキュレーターを付けることの方が消費電力は少なく済むので、両者を併用することをおすすめします。
カーテンやブラインドで遮光する
部屋の窓などガラスをむき出しにしていると、外からの太陽熱で部屋の温度は上昇しやすくなります。
カーテンやブラインドを使い遮光=断熱することは節電に繋がります。
ブラインド無しの場合と比較して10.6%の省エネ効果あるとの検証結果もあります。
すだれやタープ、植物を使った「緑のカーテン」もおすすめです。
まとめ
7月分から電気料金が大幅に上昇し、今後も電気料金の高騰は続くと予測されています。
電気料金を下げるため、夏場にできる一番の節電は「エアコンを効率よく使うこと」です。
熱中症予防のため、エアコンは適切に稼働させてた上でご自身ができる節電術を実践していきましょう。