未就園児のお子様がいる方にとって、幼稚園選びは頭を悩ませる問題の1つです。
幼児教育無償化制度ができて、幼稚園にかかる料金は大きく下がりましたが、全て無料で利用できるわけではありません。
幼稚園「私立」「公立」「国立」の違いは何なのか、また、保護者が負担する金額にどれくらいの差が出るのかについてまとめました。
幼稚園は「私立」「公立」「国立」の3種類
まずは幼稚園にはどのような種類があるのかを見ていきましょう。
私立幼稚園
幼稚園の中で最も多いが私立幼稚園です。
運営母体は民間となり、学校法人や宗教法人、財団などによって経営されていることが多いです。
全国には7,000弱の私立幼稚園があり、現在幼稚園に通っている子どもの約8割は私立幼稚園に在園していると言われています。
基本的には3年保育形式をとっている幼稚園が多いですが、近年では満2歳児から預けられる4年保育の園も増えています。
「プレ」よばれる未就園児のクラスを設定している園もあります。
いわゆる「お受験」が必要なところから、特に試験を必要としない地域的なところまで多種多様です。
通園バスは園によりあるところとないところがありますが、公立幼稚園には基本的にはありませんので、バスのある幼稚園は私立と思っていいでしょう。
公立幼稚園
地方自治体が運営する幼稚園が公立幼稚園です。
私立や国立に比べて園児の定員が少なく、2年保育の幼稚園が多いというのが特徴です。
保育料(利用料)が私立と比べて安いというのが大きなメリットでしたが、幼児教育無償化により以前ほど大きな差はなくなったと言われています。(詳しくは後述)
全国で約4,000の公立幼稚園がありますが、少子化などの影響もあり、そもそも公立幼稚園がない地域もあります。
国立幼稚園
国立幼稚園とは国が運営する幼稚園で、国立大学の教育学部に附属する幼稚園を指します。
日常の園生活の中で、教育現場の研究や調査に協力する場面が出てきます。
大学の構内や付近に幼稚園が設置されるため、園舎が広く緑豊かな環境であることが多く、それが魅力の1つとなっています。
入園試験が設けられ難易度が高いというイメージもありますが、優秀な子どもばかりを合格させるわけではなく、様々なタイプの子どもが入園することが多いようです。
また、入園した後、園児全員が国立小学校に自動的に入学できるわけではありません。
幼児教育無償化制度の基礎知識
2019年より、幼児教育無償化制度が適用されるようになりました。制度の内容について見ていきましょう。
記載する情報は内閣府ホームページを参照しています。
3~5才クラス(年少、年中、年長)は無料(月額2.57万円が上限の場合も)
対象期間は、原則満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間です。
子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園は月額2.57万円が上限となります。
無償となるのは保育料(利用料)が対象なので、通園送迎費、食材料費、行事費等は保護者負担です。
ただし、食材料費については以下の条件で免除となります。
・年収360万円未満相当世帯は副食(おかず・おやつ等)の費用が免除
・全世帯の第3子以降は、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除
0~2才クラス(年少未満)は基本的には有料
年少未満のクラスは基本的には制度の対象外となり、有料となります。
ですが、以下の条件で無料となったり、減額されたりします。
●住民税非課税世帯
●保育所等を利用する最年長の子供を第1子とカウントし、第2子は半額、第3子以降は無料
※年収360万円未満相当世帯は、第1子の年齢は不問とする
預かり保育は、3~5才クラス(年少、年中、年長)は最大月額1.13万円まで無料
預かり保育(延長保育)に対しても、一定の条件下で無償化が適用されています。
無償化の対象となるためには、「保育の必要性の認定」を受ける必要があり、就労等の要件を満たす必要があります。
幼稚園の利用に加え、月内の預かり保育利用日数に450円を乗じた額と、預かり保育の利用料を比較し、小さい方が月額1.13万円まで無償となります。
幼稚園でかかる費用は、全てが無償化されるわけではない
このように、無償化になったといっても、幼稚園にかかる費用全てが無償化されているわけではありません。
入園料、通園送迎費、食材料費、行事費、教材費などは保護者の負担となります。
また、実質給付金には上限があると考えた方がよく、上限の月2万5700円を超えた分は保護者の負担になります。
私立と公立、どちらが「お得」なのか
では、実際に支払う金額にはどれくらい差が出てくるのでしょうか。
文部科学省が公表している表から比較してみましょう。
幼稚園の保育料(表でいう学校教育費)の年額は、公立は約12万円、私立は約33万円となっています。
12で割って月額を算出すると、公立は約1万円、私立は約2.75万円となります。
給付金の月当たりの上限が2.57万円なので、公立は保育料が0円になりますが、私立は上限を超えた分の約1800円を保護者が負担することになります。
上記の表は抽出アンケートによる平均値なのでこの表のとおりになるとは言い切れませんが、給食費や保育料以外の部分にかかるお金にも大きな差があることが見て取れます。
概算で計算して年間約8万円の差になります。
保育料の保護者負担分と合わせると、年間約10万円の差となります。
実際の負担分を見てみると、補助分を考えても公立の方が「お得」と言えるかもしれません。
ですが、私立は補助金を満額使っているので、その点では私立を「お得」と考えることもできます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「幼児教育無償化」と聞くと、全ての幼稚園が同じように無償化されたように感じますが、実際に金額を見てみると、条件によって大きな金額の差があることが分かります。
「お得」だけで幼稚園を選ぶわけではありませんが、この内容が1つの指標になるかもしれません。
それぞれの幼稚園の特色、費用面、お子様が楽しく通えるかどうかを総合的に考えて、良い幼稚園を選択できるといいですね。