会社経営を行うにあたって、売上を上げることと同様に重要になるのは、コストを削減することです。
コスト削減を行う際には、押さえるべきポイントや注意すべき点があります。
この記事では、経営コストの種類、コスト削減を行うメリット、注意点や項目別の削減方法について解説していきます。
経営コストの種類
まずは、経営を行う上でのコストにはどのような種類があるのかを見ていきます。
経営コストは「固定費」と「変動費」に分類されます。
固定費
固定費とは、売上に関係なく計上される経費のことで、毎月(または毎年)決まった金額がかかるものです。
●固定費の例
・人件費
・賃料
・通信費
・水道光熱費
・福利厚生費
・保険料
変動費
変動費とは、売上や状況に応じて変わる経費のことで、企業経営の状況により金額が大きく変わります。
●変動費の例
・原材料費
・消耗品費
・在庫管理費
・広告費
・採用、教育費
・交通費
・出張費
・残業代
経営コストを削減するメリット
経営コスト削減に取り組むことには、以下のようなメリットがあります。
営業利益の増加
経営において利益を増やしていくには「売上の拡大」と「コストの削減」が重要になります。
営業利益は以下の計算式で求められます。
・営業利益=売上ーコスト(経費)
コスト削減は顧客に左右されることなく自社内で行うことができ、それは結果的に営業利益を増加させることにつながります。
企業評価の向上
先述のとおり、コスト削減を行うことは営業利益の増加につながります。
そして、営業利益の増加は、金融機関や株主からの評価の向上につながります。
自社の取り組みだけで会社としての評価が上がることは大きなメリットです。
業務効率化の促進
コスト削減の作業は社内の「無駄」を省いていく作業でもあります。
その結果、業務効率化の促進や生産性の向上につながります。
経営コストを削減する際に注意すべき点
実際に経営コストの削減を図る際に、押さえておきたい注意点を解説します。
計画的に実施する
無計画に、闇雲にコスト削減を行うことは、社員の負担となってしまいます。
そうなると結果的に生産性が下がり、ひいては経営悪化につながるため注意が必要です。
短期的に目先のコスト削減を行うのではなく、先を見据えた中長期的な計画を立ててコスト削減することをおすすめします。
必要な経費まで削らない
コスト削減にばかりに注力してしまい、必要な経費まで削っていないか、常に意識する必要があります。
何のためのコスト削減か、目的を見失わないようにしましょう。
特に、人件費や福利厚生費などは社員全体のモチベーションに直結するため慎重な判断が求められます。
経営者と社員に温度差を作らない
コスト削減は経営者にとっては利益に直結する有意義なものですが、一方で社員にとっては余計な負担になる動きである場合もあります。
社員からすると、コスト削減を行っても直接給与には反映されるものではないからです。
なぜこのコスト削減が必要なのかを社員に理解してもらって行動してもらう、経営者と社員が同じ温度で動くことが重要です。
会社全体で取り組む
経営者と社員が同じ温度で取り組むことも重要ですが、加えて、会社組織全体で取り組むことも重要です。
部署によりルールが異なっていたり、どこか一か所に極端に負担が偏ることは望ましくありません。
また、コスト削減の成果を賞与に反映するなど、社員のモチベーションアップにつなげる工夫も効果的です。
身近なもの(削減しやすいもの)から始める
コスト削減を行う際には、身近で削減しやすいところから始めてみることをおすすめします。
水道光熱費、消耗品費、通信費あたりが比較的削減しやすい項目です。
削減しやすいコストは短期間で成果が上がるため、社員のやる気にもつながります。
経営コストを削減する方法
経営コストを削減する方法の一例を、項目別に解説します。
人件費、残業代、福利厚生費
人件費、残業代、福利厚生費については、以下の対応がおすすめです。
●業務フローを見直して効率化を図る
業務の洗い出し、見直しを行い、一人ひとりの業務効率を高めましょう。
限られた人材で効率よく業務を遂行できる体制が整えば、余剰な採用を行う必要がなくなります。
●長時間労働を是正する
業務フローの見直しは、長時間労働の是正にもつながります。
業務効率化を行うと工数削減につながり、残業代を削減することができるようになります。
●アウトソーシングの導入を検討する
アウトソーシングとは社内の業務の一部を社外へ委託するサービスです。
福利厚生など、自社で行うより効率的な場合は、アウトソーシングの活用もコスト削減につながります。
消耗品費、出張費、通信費
消耗品費、出張費、通信費については、以下の対応がおすすめです。
●ペーパーレス化を促進する
何でも紙でやり取りを行う必要はない時代になりました。
書類のペーパーレス化を行うことで、消耗品費の削減だけでなく、業務効率化も図ることができます。
●オンライン会議の活用で出張回数を削減する
オンライン上で完結できる業務はオンライン上で完結させてしまうことで、無駄な動きをしなくて済むようになります。
オンライン会議を利用することで出張回数の削減にもつながります。
●通信費の契約内容を見直す
ペーパーレス、オンラインの仕組みを整える際に、合わせて通信費の契約内容を見直しましょう。
様々なプランが打ち出されているので、自社に合ったものが選択されているか確認することをおすすめします。
水道光熱費、賃料
水道光熱費、賃料については以下の対応がおすすめです。
●LED電球・人感センサーのものに変える
照明のLED化は、消費電力を大幅に下げることができるのでおすすめです。
人感センサーは、社員の意識に頼ることなく自動でコスト削減できるシステムです。
●空調システムを見直す
エアコンの設定温度を見直してルールを決める、温度を下げずサーキュレーターを併用するなどの工夫ができます。
●テレワークを推奨する
在宅勤務で支障がない場合、テレワークを推奨するのもいいでしょう。
出社人数が減れば光熱費の削減になり、テレワークがルーティンになっている場合は社屋を狭い場所に移すなど賃料の見直しにもつながります。
まとめ
経営コストの削減を図ることは、利益の増加だけでなく、金融機関や株主からの評価の向上、また業務効率の向上にもつながります。
削減を行う際には社員に過度な負担を強いていないか、モチベーションの低下につながっていないかなど、かえってマイナスにならないよう注意する必要があります。
コストの項目ごとに、身近で削減しやすい項目から取り組むことをおすすめします。