おはようございます、夏井です。
タイにやってきて、こちらで活躍する経営者やサラリーマン、タイ人たちとも話しましたが、なかなかしびれる話ばかりです。まず経営者との話で一番出てくるのは、日本人客の人数や購買力の減少です。
日本人、特に個人でやっている人たちは、お客さんの日本人比率が高い人が多いです。私は15年以上前から、日本人相手ではなく外国人相手に商売をしないと行き詰まるから、早めに転換していかないといけないと、会う人会う人に言ってきましたが、今それを心から実感しています。
とはいえ、やはり毎日毎日、目の前のお客さんを相手にやっていると、大胆な変換をするのは難しいです。
しかし、今タイでうまくいっているのは、タイ人がたくさん来てくれる店です。例えば、日本食レストランは10年前にはすでに香港でも日本人の客単価は1.5倍くらいありました。今ではタイ人も同じような感じです。日本人相手にしている店は値上げが難しく、結果どんどん賃料の安い地域に移動しています。このまま行くと、10年後には一体どこまで郊外に行くのか心配になる程です。
そして、ここで働く日本人たちですが、大きく分けて3つに分かれます。
- 駐在(日本から派遣されてくる人たち)
- 現地採用(現採と呼ばれ、タイに来て自分で仕事を探した人たち)、
- 経営者
です。
駐在は、会社から家賃や車、子供の学校など様々な補助があり、かつ日本でも給料をもらっているため、かなりゆとりがある人が多かったものです。一方、現地採用はそれがないので、なかなかカツカツなのですが、自分で選んでここに来ているので、楽しそうな人が多かったです。
これらは、私がタイに住んでいた10年以上前の実感です。貴族と平民ぐらい差がありました。
タイで日本人が働くためには最低賃金がありますが、この30年くらいほぼ変わっていません。その金額は1ヶ月5万バーツで、日本円にすると21万円くらいです。日本よりも高いです・・・ しかし、問題はタイの物価に対してです。
私は、タイになんだかんだ30年くらいいるので、この間の物価の移り変わりはよく知っているのですが、30年前タイ人の最低賃金は1日100バーツでした。その頃の円換算では、1バーツ5円なので500円です。つまり3,000バーツ、1ヶ月15,000円くらいでタイ人は生活できたことになります。
あくまでも最低賃金レベルですが、さらに5万バーツの小遣いを持っているわけですから、これはもうなかなかの貴族です。15倍以上ですから。
その後、通貨危機などがあり、バーツは円に対して劇的に安くなり、1バーツ2.5円くらいの状態が長く続きます。これが2000年代の初頭です。この頃になると、タイに来る日本人がほぼピークを迎え、タイでの日本人人気が最盛期を迎えます。この頃、タイ人の最低賃金は1日160バーツ程度だったので(バンコクはもう少し高い)1ヶ月5,000バーツ、日本円で12,500円程度となりました。
そうです。物価は上がったのですが、日本人にとっては円換算ではかなりお得になったために、円さえ持っていれば、何もかも安いと感じる状態になったのです。しかし、現地採用組は円を持っていないため、この恩恵を授かれず、格差は拡大しました。それでも、タイ人10人分の給料でした。
そして、少しずつタイ人の給料は上がり、日本人の給料は変わらず2010年を迎えます。国からのお達しで、1日200バーツなかった最低賃金が突然、1日300バーツに変わりました。いきなり1.5倍、日本で言えばいきなり日給1,500円です。
しかし、元々の賃金が安かったので結局何とかなってしまいました。今、韓国に1人あたりの賃金が抜かれた理由もこれだと思います。数年前にこのような政策をして、給料だけは上がったのです。その代わり会社、特に零細企業が大変なことになってはいますが。
話がそれましたが、この頃のタイバーツは1バーツ3円くらいでした。ですので、月給9,000バーツ、2万7,000円が最低賃金となりました。日本人は5万バーツのままですので、約5人分程度の稼ぎとなりました。当然物価は、この間に2倍にはなっていますから、単純に日本人の稼ぎは半分になったようなものです。
すでに日本人の力は2010年には下り坂でしたが、こうやって諸外国にキャッチアップされていくわけです。2024年現在、タイの最低賃金は363バーツです。バーツは4.1円です。どんどん差が縮んでいきます。
タイ人は最低でも月給4万5,000円ほどもらえるようになりました。日本にいる日本人との差は4倍程度です。物価は30年前に比べて3倍です。体感としては、賃金で16人前が4人前、物価は3倍で、12倍縮まった思いです。そしてこれは今が終わりではなく、これからまだまだ進んでいきます。
すでに部長職レベルでは、日本にいる日本人よりもタイ人の方が給料が高くなっています。現地採用も、日系企業よりもタイ企業の方が給料が高くなっているところが増えています。つまり、日本人は日本人への対価が低いのです。これからは外国人に雇われる方が、良い報酬をもらえるようになるでしょう。
話は戻りますが、そんな駐在も現地採用も、しょせん日本人価格で給料をもらっているわけで、それが相対的に高くなくなった今、駐在ですらタイでコンビニ弁当を食べて節約しています。理由は簡単です。給料は変わらず、物価だけ上がっているからです。
あと10年後の事を考えるのは、もはや難しいです。5年後でさえ、一体日本はどうなっているんだろうと日々悩ましいです。
私も、国内外問わず、外国人からどうやって収益が上げられるかを考えています。実際、いくつかそのアイデアは進んでいるので、これらの実現に向けてこれからの数年、邁進していきたいと思っています。
皆さんも面白いアイデアがあれば、是非私とコラボしてみませんか?
次回は最近聞いた面白い仕事の話を書く、かもしれません・・・
それでは~。